教育とは伝えること―短期留学を通して学んだこと4(連載23回目)

あとでわかったことですが、
先生方による留学生の決定相談会で
私の担任の先生がずいぶん私を押してくれていたそうです。
この担任は朗報の電話の向こうで涙を流してくれていました。
生徒に巡ってきたチャンスを自分のことより喜んでくれるような先生に出会えたと気づく機会でもありました。

教育とは教えるというよりは伝えることだと思っています。
人間一人一人違った見方をしているものです。
自分が見ているもの知っているものを相手に伝える方法は様々で、
例えば昔ながらの職人の方などは言葉で教えず、見て学べと言いますね。
これは言葉では伝えきれないものが存在しているから、
知識ではなく体験を通して学んでいきなさいということではないでしょうか。



言葉というのは大きな世界を小さな枠の中に閉じ込めるようなものだと思います。
それが国によって文化の違いがあり、言葉になっているものもあれば、
他国には言葉として存在しても、その国には存在すらしていないものもあったりします。

日本語の「もったいない」などは、日本が生んだ尊い文化言葉で今や世界広がる言葉になっていますね。
「かわいい」も確かヨーロッパでも通用する言葉だと聞いたことがあります。
これは日本人の中高生の使うかわいいというニュアンスが
そのまま言葉に閉じ込められて伝わっていっているものです。
英語にも「cute」という言葉がかわいいを指しますが、ニュアンスが違うのです。
かわいいとcuteは同じ意味でニュアンスに違いがあるわけです。

話が逸れましたが、先生とは知識をただ流しいれる教科書ではなくて、
世の中が持つ言葉にするのも難しいものたちを生徒にうまく伝える任務があると思っています。
生徒たちはこれを経験を通して学び取っていきます。
失敗も含めそれらを上手にサポートしていくことが先生に与えられた仕事の醍醐味でしょうね。

電話口で涙を流す先生にこの時はただ「ありがとう」と思いましたが、
いつまでも心に残り今の私に伝えてくるものがあります。

先生は教育者とはなんたるものかを見せてくれたのでしょうね。

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